呼吸器・乳腺内分泌外科教室
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器・乳腺内分泌外科(第2外科)は大正12年に開講し、現在同門会員723名を擁する大外科学教室です。とくに関連病院(各地の基幹病院)に関しては中四国随一の質および数を誇っています。砂田輝武、寺本滋前教授時代は心臓血管外科とともに呼吸器、消化器、内分泌、輸液と幅広い分野で学会をリードしてきた実績があります。平成2年4月に心臓血管外科が独立しましたが、消化器、呼吸器、内分泌、輸液の分野は呼吸器・乳腺内分泌外科に引き継がれており、心臓血管外科は現在も兄弟科としてお互いに協力しあって診療・研究を行っています。
また呼吸器・乳腺内分泌外科は各地の基幹病院以外にも多くの関連病院を有しており、胸部を含めた外科全般に亘って、バランスのとれた研修ができるのが特徴です。最近、外科の分野でも専門化が進んでいますが、卒後の医師臨床研修(ローテーション)終了後外科医を志した当初は外科全般に亘って広く勉強することが非常に重要だと考えております。現在、どの学会の専門医制度でも日本外科学会の専門医を取得しないとさらに高度な専門医の資格が取れない仕組みになっています。岡山大学呼吸器・乳腺内分泌外科では最初の4年間は外科全般(一般外科)を広く研修し、日本外科学会認定医を取得した後は各自の希望にしたがって専門領域を深く研究するカリキュラムを確立し、専門領域のみに知識の偏らない外科医の育成を目指しています。医学の進歩とともに外科的治療の対象となる患者も増加していますが、外科医の増加がこれに伴わないのが現状です。それに伴い呼吸器・乳腺内分泌外科は現在多くの基幹病院から医師の派遣を要請されています。是非、多くのファイトあふれる諸君が入局し活躍してくれることを期待しています。
なお入局に関して、我々の教室には出身大学による学閥等は一切ありませんので広く全国より入局されることを強く望んでいます。また入局あるいは入局後も男性・女性による差別は全くありません。というより外科医として女性のほうがふさわしい役割があることも明らかです。もし女性で外科医を目指している方がいらっしゃいましたらご一報いただければ当科の女性入局者と話す機会を設けようと思います。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器・乳腺内分泌外科(第2外科)は岡山大学医学部歯学部附属病院において、呼吸器、消化管、肝、胆、膵、甲状腺、乳腺など幅広い分野にわたって担当しています。これまでに行なった肺癌切除症例は2000例以上、年間約250例の呼吸器外科手術を行なっており、これは全国トップクラスに位置しています。
また脳死肺移植認定施設(全国四施設)に選ばれており、日本初の生体部分肺移植に成功(平成10年10月28日)、以来平成16年5月までに31例の生体部分肺移植および4例の脳死肺移植を行なっていますが、これは国内において最も多い移植症例数です。加えて肺移植後の成績(生存率)に関しては世界でもおそらくNo. 1ではないかと思います(平成16年 第40回日本移植学会主催)。 また肺気腫の外科治療を全国に先駆けて実施し、国内最高の成績を修めています。 さらに胸部の悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法を手術不能症例に適応し、いままで治療手段が無いと言われていた患者さんたちに希望を与えてきました。これは当院放射線科と協力して行なっており、全国一の症例数を誇っています。
また近年脚光を浴びている内視鏡下手術(胸部、腹部、甲状腺、乳腺)に関しても、全国トップクラスの実績を誇っています(平成15年 第16回日本内視鏡外科学会主催)。
呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)の研究部門では、とくにトランスレーショナル リサーチと呼ばれる基礎研究の成果を臨床の場に応用できるような質の高い研究を、各専門分野の指導医のもと数多く行なっています。現在行なわれている研究の概要(テーマ)は以下のようになっています。
肺癌・縦隔腫瘍の臨床病理学的・分子生物学的研究
甲状腺、乳腺疾患の診断、治療
中国・四国・近畿地方を中心に多くの優れた関連病院を有し、充実した外科研修システムを確立しているため、あらゆる種類の充実した臨床研修が可能となっています。 またアメリカ合衆国をはじめとした海外留学生および国立がんセンターをはじめとした国内留学生を各方面に数多く送っています。それぞれ充実した研究ないし臨床研修を行なうことによって、業績や技術のみならず医師としての広い視野を得、その成果を持ち帰って岡山大学呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)、ひいては日本、さらには世界の医療のレベルアップに貢献しています。